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Case study

薄膜フォトニック結晶デバイスの非破壊的な特性評価

Case study, SMT, 消費者エレクトロニクス

EPFL Laboratory for Physics of Nanostructures (LPN)はスイスを代表する大学のひとつであるスイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)のInstitute of Physics (IPYS)に所属しています。位置制御およびエネルギー制御される半導体量子ドットの光学特性と、フォトニック結晶(PhC)光学キャビティおよび導波路(WG)の結合に基づくフォトニックナノデバイスを主に研究しています。

S neoxは最大4つの異なる光源(赤、緑、青、白)を提供するため、本研究に特に適しています。

本研究は増強放出(パーセル効果)をもたらすフォトニック(PhC)結晶のキャビティ(図1のa)または光子多重化デバイスを形成する導波路(WG)(図1のb)に埋め込まれた量子ドット(QD)の光学特性に基づいています。代表的なデバイスは、エピタキシャル成長させたGaAs/Al0.7Ga0.3As/GaAsの多層スタックから製作され、厚さ250 nmの最上層GaAsにはデバイスの能動パーツが含まれ、1 µmの犠牲層Al0.7Ga0.3Asは浮遊薄膜デバイス(図1のc)を形成するために最終的にエッチング除去されます。

この薄膜は、特定の位置にある1つ以上の20 nmのIn0.3Ga0.7As量子ドット(QD)と、このQDに沿って正確に並んだエッチングされたPhC構造(100 nmの穴の大規模アレイ、複数の穴が特定の形で欠落している)を含んでいます。これらのデバイスは、複数の加工ステップで1~20 nmの精度を要求するため、これらすべてに高性能電子線リソグラフィとプラズマ(ICP)エッチングが使用されます。重要な最終ステップは犠牲膜のウェットエッチングを伴う薄膜の取り外しです。この段階ではサンプルの断面を確認できないため、上面視の光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡(SEM)がPhC構造の唯一の特性評価ツールとなります。

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図1(a). 連結されたL3PhCキャビティに埋め込まれたQD(黒い点)のネットワークのSEM画像 (b). 上部にアウトカプラを使用した6つのQD(赤色三角)を含むPhC導波路のSEM画像 (c). 懸架薄膜デバイスのSEM断面画像

本研究ではS neoxを使用しました。S neoxは最大4つの異なる光源(赤、緑、青、白)を提供するため、本研究に特に適しています。2D明視野高倍率画像化と赤色光源を使用することで、本来なら見えない薄膜の下の特徴を調べることが可能となるためです。本研究は、懸架されたGaAs薄膜(250 nm)上に製作されたフォトニック結晶デバイスの特性を高精度(sub-μm)かつ非破壊的な方法で評価することを目的としています。

明視野観察法を用い、150倍対物レンズ(場合によってはさらに画像を拡大)と顕微鏡の4つのLED光源を使用して浮遊する薄膜デバイスを観察しました。最初は常に観察画像にはデバイスの表面の特徴が映し出されていると仮定します。しかし、一部のデバイス(誘電体層を含むデバイスなど)では、光が最上層を通過して内部のパーツに関する情報を提供します。これは非常に有益であるため、浮遊薄膜デバイスに対してこの方法を適用することにしました。周知のとおり、GaAsは室温のギャップエネルギーは1.52 eV(815 nm)であるため、可視スペクトル領域で不透過です。

すべての短波長で GaAsの吸収係数は高く、波長に大きく依存し、<sup>1</sup> 1.- J. O. Akinlami and A. O. Ashamu 2013 J. Semicond. 34 032002 これはSensofarの顕微鏡の赤色LED(630 nmで3.9µm-1)と青色LED(460 nmで20.4µm-1)で5倍異なります。しかし、今回使用する薄膜(250-260 nm)では、薄膜の吸収率が低い赤色光を使えば、デバイスの下側のパーツから有効な情報を取得できる可能性が高くなります。

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図2. PhCキャビティデバイスの明視野画像、全画像に150倍対物レンズ(明視野、4倍ズーム)を使用。光源は赤色LED (a)、緑色LED (b)、青色LED (c)、白色LED (d)。(e)と(f)はそれぞれ赤色LEDと青色LEDで取得した暗視野画像(明視野画像aとcにそれぞれ対応)。
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図3. a) 等しい積算輝度に標準化した4つのLEDのスペクトル b) 厚さ260 nmのGaAs薄膜を通過して往復した光の減衰スペクトル(T2)(右軸)、往復後に(a)から反射したLEDの光の輝度(左軸)

図4は、PhC WGデバイスの青色LED(図4のa)と赤色LED(図4のb)の画像を示しています。図2のacと同様に、青色LEDの画像は解像度が高く、これはサブミクロン(0.4×0.8 µm)キャビティに表れています。

その他については、(独立した欠陥部を除き)表面は滑らかな状態に映っています。同じ領域の赤色LEDの画像(図4のb)を見ると、ここでもデバイスのアレイ全体が最も明るく映り、グレーの帯域がその周りを囲んでいます。これは薄膜の下のエッチングされたパーツの画像で、赤色光でのみ確認できます。また、これらの「内部」の表面のざらつき(薄膜の下側のパーツ上または基材の上側のパーツ上)も確認できますが、これもこの画像にしか映っていません。

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<em>図4</em>. PhC WGデバイスの明視野画像、150倍対物レンズを使用して取得。光源は青色LED (a)と赤色LED (b)。

薄膜半導体デバイスの画像化では、赤色光を使用して薄膜を透過した画像を取得することができますが、青色光ではデバイスの表面しか映りません。青色光と赤色光の明視野画像化を使用することで、フォトニックデバイスの「上面」と「内側」の比較が可能となりました。

3D光学式形状測定装置S neoxの2D明視野モードは、非常に高速で非破壊的であり、デバイスの見えない特徴の画像化を可能にします。Siの光学吸収はGaAsと類似傾向を示すため、さまざまな種類のMEMSデバイスの特性評価に非常に有効であると考えられます。

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